世界中でツナ缶を食べる人が増えると→カツオの価格が高騰する?鰹節で知る、海と台所のつながり~鰹節のはなし
味噌汁に、煮物に、たっぷりのおかかや昆布から引いただしが、日本人しか持っていないといわれる「第六の味覚=うま味」を育んできました。ニホンの食文化、いやそんな大げさにいわずとも、美味しい和食のキモとなる「だし」。いま、その「だし」が窮地に立たされています!食生活が大きく変わり、自宅でだしをきちんと引く機会が減っているうえに、原料のカツオが世界的に価格高騰しています。
港町・焼津で昔ながらの鰹節を作り続ける『新丸正』でも、200711月お届け分から価格を変更させていただくことになりしまた。
最近のカツオ事情について、『新丸正』官田郁夫さんからお話をうかがいました。
《牛の事情で高くなる魚??》
カツオとマグロ、どっちも(世界の)市場の中心はタイのバンコク。ここには、全世界に向けて輸出をしている缶詰パッカーが多くあります。
ちなみにあちらでの原料は、マグロでなくカツオ。日本のメーカーでも、マグロ高騰にともなって、原料をカツオに切り替えています。これまで日本では、1kg80円ほどで取引されていたカツオが、今年の4月ぐらいからずっと上がり始めて、とうとう170~200円ぐらいになってしまいました。
原因は、特にEUや中東、中国で、ツナ缶の需要が伸びているためです。BSEの影響で、魚食文化が世界的に広がっているというのが大きい。今まで食べなかった人たちが食べ始めると、 単純に需要が増えて、足りなくなってしまうわけです。
また、缶詰と鰹節を比べると、歩留まり(原料のうち製品に利用できる部位の割合)の違いも大きいといえます。鰹節の場合は歩留まり20%、缶詰の場合は歩留まり40%ぐらいだと思いますので、値上がりを単純に考えると、かつお節は50円、缶詰は20数円の値上げにつながります。
漁獲量を見ると、西部太平洋やインド洋では不漁ですが、日本船の漁場に関しては、そんなに変わっていません。理由は正直いってよくわかりませんが、漁業ではよくあること。量自体変わらないのだから、値上げしなくてもいいように思えますが、国内で安くなれば、商社が(国内で)買ってバンコクへ売ってしまうので、それを防ぐためにも相場は価格を上げざるを得ないんです。
たとえば、静岡では普通サバがすごく揚がるのですが、今年はもっと北で揚がってます。でもそこには加工屋がないので、中国に輸出されてします。魚介類は、ほとんど海外に買い負けているのが現状です。中国の魚の消費は増えていて、高級な魚を食べる富裕層の数も多くなってきています。日本国内では、あいかわらず価格競争...。今に食べるものがなくなってしまうかもしれません。
いま、あらゆる食品が値上がりしています。さまざまな原因がありますが、大きいのがエネルギー、石油の値上がり。ガソリンやパッケージに使うプラスチックなど、あらゆるものに関わってきます。ふだん何気なく使っている無駄な電気をもっと見直して、めぐりめぐって値上げにつながるようなことは避けたいものです。
ただ、電気の使いすぎが、コロッケの値上げや、魚の値上げにつながっている、そういうことはわかりにくい。『にんじんCLUB』のようなところに、地道に伝えていってもらいたいです。
一番心配なのは、値上げになって、だしをとる人がいなくなっちゃうかもしれないということ。よく産婦人科がメーカーと組んで粉ミルクを配りますが、ああいうふうにだし汁を配って、幼いうちから味覚を育むような活動ができたらいいなと思いますね。離乳食にかわる時、だし汁飲ませるじゃないですか。うちの子どもも英才教育していますよ(笑)。








