「UMAMI」はニホンの宝もの。ミライを育む「だし」
「UMAMI」はニホンの宝もの~ミライを育む「だし」~
甘・辛・酸・鹹・苦、そして旨。私たちが当たり前に感じる味覚「旨み」は、日本人特有のものといわれます。その秘密は「だし」にあり。
塩や油を控えたヘルシーな食生活をささえる「だしの旨み」を、子どもたちのミライ(未来/味蕾)に伝えましょう!
滋味あふれる海のだし~昆布
四十物(あいもの)昆布●富山県黒部市
昆布のとれない富山なのに、消費量日本一?
昆布といえば北海道、なのですが、食べる量日本一!はなんと、昆布のとれない富山県。その理由を、「四十物(あいもの)昆布」の社長・四十物直之さんにうかがいました。
「なぜかというと、もともと富山は北前船(きたまえぶね)の寄港地だったからです。これは、1639年に初めて、前田の殿様(加賀藩3代目藩主前田利常)が、大阪に向け船で米を運んだことが始まり。1672年に河村瑞賢が、地方と江戸や大阪方面を結ぶ航路を完成させたのが最初と言われています。当時の単位で千両儲かる商売ですが、海の危険と隣り合わせでもありました。
昆布は北海道から大量に運ばれ、富山に降ろされました。かつて富山の人々は貧しくて、北前船に乗って北海道に出稼ぎに行ったんです。根室、羅臼町、利尻町新湊、そして北方領土の歯舞群島、色丹島、その辺りを開拓したのが富山の人間で、今も羅臼町の70%はもと生地(いくじ)の人達です。それで昆布とつながりが深く、昆布をたくさん食べる土地となりました」
そして昆布も貴重なものとして方々に運ばれました。そのひとつが、中国と薩摩藩との貿易。薩摩藩は、富山の北前船を通じ、北海道から運ばれた昆布を中国へ持っていき(風土病に効くとされたそう)、昆布と引き換えに薬を輸入し、藩の財政難を立て直しました。これが〈富山の薬売り〉とも言われたあの薬でもあります。
「昆布を食べると髪にいいとか、頭が良くなるとか、富山では長寿というのもありますね。北前船で運ばれて行った先のひとつの沖縄県は、豚肉と昆布を組み合わせてよく食べます。沖縄県の長寿の理由は昆布じゃないかともいわれています。
実際、昆布には、フコイダンがたくさん含まれていて、このフコイダン(特にUフコイダン)は、がんの予防としても注目されているそうです」
味が濃く、やわらかく、すばらしく美味しい昆布、って?
「日本では一般的に日高昆布の使用量が多いですが、富山の人は昆布といったら羅臼昆布!2万トン中の300トンしか採れない昆布ですが、とても味が濃くやわらかく、すばらしくおいしい昆布なんです。昆布は地域が限定され、完全に顔のわかった人同士でしか仕入れられないのです。うちは祖父の代から昆布に関わり、わたしは実は関西・九州のほうでは〈ミスター羅臼〉なんて呼ばれてるんですよ(笑)」
羅臼昆布はいい昆布ですが、大手企業が継続して扱うには少な過ぎて取り扱えせん。だからこそ、小さな企業がうまく取り扱えて、丁寧においしさを伝えていくことができるのですね。
「羅臼昆布の唯一の欠点は、だしの色が出ること。だから、京料理には色が出ない利尻昆布。味の面では、利尻昆布は隠し味、素材のうしろにある。羅臼昆布は素材の上にある。昆布そのものが美味しいんですよ!」
ところで、海で育った昆布、収穫したらすぐ出荷できるわけではありません。羅臼昆布はなんと、収穫時には約1cmの厚みがあります。7月からお盆頃にかけて収穫し、まずは天日干し。その後、夜露にあててやわらかくし、半乾きにする...を繰り返し、重ねて寝かせ、熟成させる「按醸(あんじょう)」という行程があります。このプロセスを経たものが〈昆布〉となり、袋詰めされ、出荷されるのです。
世界で注目される「UMAMI」
千島列島の周りにも昆布は多くありますが、ロシアでは昆布を食用にする習慣がありあせん。
「昆布は2年生だから、1年、2年、と大きくなります。収穫しなければ、昆布は根から離れて海岸に打ち上げられて腐ってしまいます。ロシアの地域の人と政府を通じた交流があり、昆布をどうやって活かすか教えましたが継続しませんでした」
世界でこの海にしか生まれない昆布も、食習慣の違う国では海岸のごみになっているのです。しかし、最近は世界でも、日本食には欠かせない〈うまみ〉の概念が注目され、だしのおいしさを〈UMAMI〉と呼び、活用し始めているそうです!昆布のおいしさを、日本でも、世界でも、もっともっと味わって、未来につないでいきたいですね。
昆布とだしのアラカルト
【富山のOLはバッグに昆布を入れている!?】
...という説があります(笑)。それも、徳用の大袋で購入した昆布を、ハサミで切ってチャック付ビニール袋に入れ、バッグの中へ。ガンの予防に、髪の栄養源に...富山美人の秘訣は昆布にあり!?『焼ラウス昆布』はパリッと香ばしく焼いた食べやすいスナック感覚が、『おつまみ ラウス昆布』は富山好みのしっかり食感が楽しめます。
【手軽でおすすめ!水だし】
だしを引く作業自体はどれもとてもカンタンなのですが、忙しいからと◎◎の素を常用していると、確かにメンドウと感じますよね...。
そこでおすすめなのが「水だし」。毎日、晩ごはんの片付けとともに、翌日の「だし」を作っておくと本当に楽ですよ♪
作り方は超カンタン。
だし素材を、水に浸けておくだけ!
昆布ならピッチャーに。うっかり浸け忘れた時は、キッチンバサミで細く刻み、ゆっくり煮出して使っちゃいます。結構だしが出ますよ。
煮干しや干ししいたけは、ジャムなどの空き瓶に入れて。
いずれも冷蔵庫に入れて1~2日で使い切りましょう。(使い切れなかったら、冷凍庫で保管)
特におすすめは「昆布の水だし」。スープに、煮物に、味噌汁に...「水がわり」に手軽に使っちゃってください。ぐんと美味しさが増します!
【かつお出しはティーポット方式で】
かつおだしは、水よりも熱湯で出したい。重宝するのが、紅茶や日本茶を入れるティーポット(急須)です。茶葉のかわりに花かつおを入れ、熱湯を注いでしばらく置く。そのまま注げば、だしと出しガラとに分かれます。
かつおぶしのメーカー『新丸正』を訪ねた際、お茶がわりに、こうして入れた温かいだし汁をいただきました。ちぎった海苔と醤油少々を入れれば、即席のお吸い物にも♪




